奈良山友会 山行の記録
 
黒部 下の廊下・水平歩道

2014年10月24日(金)~26日(日)



<メンバー>
L.スノーマン、点の記、なべちゃん、pike

<コース・コースタイム>
10/24(金)  近鉄郡山駅7:00 - 名阪 - 名神 - 中央 - 長野道安曇野IC - 
13:50扇沢 - 14:25黒部ダム - 15:00ロッジくろよんテン場

10/25(土)  ロッジくろよんテン場5:15 - 黒部ダム5:55 - 9:30別山谷出合9:45 - 11:20十字峡11:30 - 
12:55S字峡 - 13:45仙人ダム - 15:30阿曽原温泉小屋テン場

10/26(日)  阿曽原温泉小屋テン場4:50 - 6:35オリオ谷 - 7:40志合谷 - 10:15欅平10:22 - 11:40宇奈月12:50 - 
13:10北陸道黒部IC - 名神 - 名阪 - 19:00奈良


以前からずっと行ってみたかった「下の廊下」。
小説、「高熱隧道」を読んでからは、さらにその思いが高まっていた。
当初この山行は小屋泊まりの予定だったので参加するつもりはなかったが、
小屋が満員で予約が取れないとテント泊に変更になったので参加させてもらった。

三日間とも天候は快晴だった。
「下の廊下」はV字渓谷で日が当たることが少なかったが、歩いているうちは暑いくらい、
黒部峡谷の素晴らしい渓谷美と紅葉を見ることができた。


10/24(金)
集合場所の近鉄郡山駅、7:00に到着すると、もうメンバーが待ってくれていた。
ザックを積んで、すぐに出発。
長野道、安曇野で下り、12:30スーパーで夕食の買い出しと昼食。

扇沢の駐車場入口に着くと、車を宇奈月に回送してくれる業者さんが元気に誘導してくれた。
トロリーバスにも待ち時間なしに乗車、トロリーバスは見た目はバスだけど分類上は電車になるという。
アリの巣のようにいくつも分岐したトンネルを通って黒部ダムに到着。

 

黒四ダムは想像していたよりは小さく感じた。
明日早朝に通る通路を確認して、ロッジくろよんに向かった。



ロッジくろよんのテン場は、2張りほど張ってあっただけで、良いスペースを確保できた。
トイレや水場も十分すぎる立派なものだった。
さっそくテントを設営して、ロッジ前のテーブルで翌日からの「下の廊下」を楽しみにメンバーと乾杯した。



信濃大町のスーパーで買っておいた日本酒「大雪渓」を飲み、おでんとうどんの夕食を美味しくいただいた。



翌日は欅平のテン場の確保のため、できるだけ早く出発したいので起床を4時とした。
夜空を見ると月もなく満天の星空だった。


10/25(土)
朝食はおでんの残りの汁と卵スープを使って雑炊をつくった。
テントを撤収して、ヘッドランプを付け5:15にテン場を出発した。
ダム内側の通路を通り外に出て、「下の廊下」への取りつきとなる。
ダムの下まで降り、川を渡り左岸に出れば、スタートという感じだ。

 

「下ノ廊下」は、「旧日電歩道」という。
黒部の水力発電用のダム建設のために作られた道で、
雪が解ける9月中旬から10月下旬のわずかな期間しか通ることができない。
この週末は、黒部峡谷が紅葉の一番いい時期でかなりの混雑が予想される。
早目、早目の行動が必要だ。



最初は川沿いの樹林帯、黒部川もすぐ下。
近くに見えて高度感は無い。
やがて水平道となり、やっと思い描いていた渓谷らしくなって「下の廊下」に来たという感じになった。

 

ずっと左岸を歩いていく。道は細くて右側は崖。
転落すると命はないが、左側の岩壁にはしっかりした支点と番線が付けられていて安心して通行できる。

 



紅葉も渓谷美も綺麗で文句はないのだが、同じような景色と歩道でやがて飽きてくる。
でも飽きてきて緊張感が薄れてはいけないので、気を引き締めないといけない。

 

内蔵助谷出合、別山谷出合と順調に通過していく、十字峡の手前あたりになって、左膝が痛みだした。
テン場の確保もあるので、点の記さんとなべちゃんに先行をお願いした。
これでテン場の確保は安心~テーピングをして、ゆっくりと歩いた。
十字峡の広場から、十字峡が良く見える岩のテラスに行き、写真を撮った。
きっと二人は急いでここに寄らず行ってくれたんだろうなぁ~ごめんなさい~
でもめったに来ないところだし、せっかくだから寄らせてもらった。



十字峡は、西からは立山・剣岳から流れてくる剣沢と、
東からは爺ヶ岳・鹿島槍ヶ岳から流れてくる棒小屋沢が、北に向かう黒部川に十文字に合流している。
エメラルドグリーンの水の色がとても綺麗だった。

十字峡横の小さな吊橋を渡り、半月峡、S字峡。
崖の中腹に大きな送電線用のトンネルが二つ見えた。



同じような景色、同じような道。「素晴らしい紅葉と渓谷」で贅沢なんだけど、長いなぁ~って言うのが実感だった。

一人で渡るようにと掲示のある東谷吊橋。その割にはしっかりしていた。



東谷吊橋を渡るとすぐに仙人ダム。

 

意外にもダム施設の中を通る。
施設内には熱気がいっぱいで眼鏡も曇る通路があって、これが「高熱隧道」なんだ。
写真を撮ろうとしたが、レンズが曇って撮れなかった。
もう一度、小説を読み返してみようと思った。

 

仙人ダムからは急登を経ての急降下。阿曽原の小屋の屋根が見え隠れしてきた。
15:30到着。
テン場から二人が手を振ってくれた。
寒い中でシュラフに包まり、テン場を確保してくれた点の記さんとなべちゃんに感謝。

 

テン場はテントで溢れていたが、まだ増えている。



最後には通路が無くなるほどだった。
水も豊富でトイレは水洗。
良いテン場だ。

さっそく、露天風呂に。
露天風呂も、超満員で隣の人と身体がくっつく状態での入浴となった。



それでも温泉は温まる。
汗を流せて気持ちいい。
テントに戻り、温まった身体で、ビール…「美味しい~」。

夕食はカレー、レトルトの大盛りとフリーズドライの白飯。
ガッツリ食べた。
夕食後はお決まりの宴会タイム。
なべちゃん持参のワインをいただいた。



阿曽原小屋から、
「明日は早目に欅平に着かないと、トロッコ列車に3,000人の団体予約があり、帰りの時間が読めなくなる。
11時40分までに着けば、なんとかなる。」との案内がテントの受付時にあって、
それならと早く出ようと、4時起床で5時出発と決めた。


10/26(日)
2時頃からテント場の周りで音がしだした。
3時50分起床。
今日も天気が良さそう。
気温も高く、夜は暑いほどだった。
各自自由に朝食をとる。
カップラーメンを食べ、素早くテントを撤収。
周りもどんどん出発しだしている。

ヘルメットにヘッドランプを灯してテン場の南から一旦下り、沢を越えて、登り。
登り切ってトラバース。
水平道に出る。





国策とはいえ、この長い歩道、ダムを作った人達には恐れ入る。
ほんとうに凄い。
昭和30年代の人の心意気と魂を感じる。
映画「黒部の太陽」も観てみたい。

水平歩道もちょっと歩くペースを速めに。
大太鼓を過ぎ、志合谷にはコースタイムより早く着いた。
志合谷には、沢の内側に掘られた作られたトンネルがる。
長さはおよそ150mとのことだが、思いのほか長く感じられた。
真っ暗な手掘りのトンネル内部には湧水が流れていて、多いときは膝下ぐらいまであるとの事前情報もあったが難なく通行できた。

 

欅平に近づくにつれてトロッコ電車の警笛の音が聞こえてくる。
鉄塔があり、急坂を下ると欅平駅の橋が見えきた。
10:15到着、10:22発のトロッコ電車の切符が買えた。
屋根付き、窓付きの豪華リラックス車両にプラス530円で乗って、11:40宇奈月に到着。

 

 

予めウオンテッドさんに教えてもらってた宇奈月温泉会館で入浴。
小さいが飲泉もできる気持ちのいい温泉だった。

黒部インターから北陸道に乗り、14:00小矢部川SAで遅い昼食をとり、19:00奈良に着いた。

スノーマンさん、点の記さん、なべちゃん、調子が悪くなって、ごめんなさい。
お世話になりました。
ありがとうございました。


文・写真:pike  写真:なべちゃん・点の記・スノーマン


(参考)黒四ダムと奈良、池原ダムとの比較

ダム諸元
ダム型式 : アーチ式コンクリートダム
堤高 : 186.0 m
堤頂長 : 492.0 m
堤体積 : 1,582,000 m
流域面積 : 188.5 km
湛水面積 : 349.0 ha
総貯水容量 : 199,285,000 m
有効貯水容量 : 148,843,000 m
利用目的 : 発電
事業主体 : 関西電力
電気事業者 : 関西電力
発電所名(認可出力) : 黒部川第四発電所(335,000kW)
着工年/竣工年 1956年/1963年
堤高 : 日本の全ダム中1位
堤頂長 : 日本のアーチ式ダム中1位
堤体積 : 日本のアーチ式ダム中1位
総貯水容量 : 日本のアーチ式ダム中4位


ダム型式 : アーチ式コンクリートダム
堤高 : 111.0 m
堤頂長 : 460.0 m
堤体積 : 647,000 m
流域面積 : 300.0 km
湛水面積 : 843.0 ha
総貯水容量 : 338,400,000 m
有効貯水容量 : 220,100,000 m
利用目的 : 発電
事業主体 : 電源開発
電気事業者 : 電源開発
発電所名(認可出力) : 池原発電所 (350,000kW)
着工年/竣工年 : 1954年/1964年
総貯水容量と湛水(たんすい)面積 : 日本のアーチ式ダム中1位