奈良山友会 山行の記録

爺ヶ 岳 鹿島槍ヶ岳

2005年5月2日〜5日


鹿島槍山頂 五竜をバックに

<メンバー>
L.山遊亭軟弱  SL.山の家
へんなおじさん Mt.富士 porori


鹿島槍の二つの耳を結ぶ尾根はゆるやかな弧を描き、
後立山連峰の中にあって最も優雅な姿と私は思っています。
白い鹿島槍に憧れて、最後の雪は爺ヶ岳から鹿島槍ヶ岳です。


平端〜扇沢〜爺ヶ岳
2,670m〜冷池山荘テント場

平端駅を20時に出発し、GWさなかにも関わらず車は順調に走り、みどり湖SAで仮眠します。
翌5時30分SAを出発し扇沢市営駐車場に駐車し(かなり満 杯状態)出発準備をします。
予報通りの快晴の空を見上げ、雪の鹿島槍を思うともう心が躍っています。
その前にある長い道のり、苦しい上りなどはどこかに飛 んでいます。

爺ヶ岳登山口(標高1,350m)から柏原新道に入ります。登山口ではすでに先客も後客も多いです。
30分ほどで新道から外れ、爺ヶ岳南尾根を直登します。
柏原新道はこの時期雪崩などの危険があるため通行出来ません。

樹林の中、木の根が絡み合う足場の悪い道で、木の根絡みと雪とを繰り返す急登が始まります。
非常に歩きにくい道で「いきなり急登だ〜」と思っていましたが 何の、何のこんなのは序の口でこの先まだまだ×××の上りが待っていました。
でもこの時点ではまだまだ心が躍って私の頭には雪をまとった優美な鹿島槍しか ないのです。

樹林を抜けると真っ青の空と真っ白の雪! 急斜面!
「素晴らしい〜、どうしよう〜!」期待と不安が交錯し始めました。
大勢の人がゆっくり、雪を踏みしめて上っているのがよく見えています。この分だと階段状になっているからラッキーなのですが…。

南尾根と交わるJP(ジャンクションピーク)まで真っ直ぐの直登です。
確かに階段状にはなっているのですが、だんだん苦しくなり、
時々滑って数歩落ちた り、雪が固くピッケルが思うように使えません。
唯一の救いはどこまでも青い空と光る雪!あの白い雪の頂きまで頑張ろう!あの青い空まで頑張ろう!
と何度自 分を励ましたことでしょう。

JPからは胸のすくような大展望です。丸い爺ヶ岳南峰が頭上で手を差し伸べています。
早く行きたい心だけ行ってしまって重い体が残ります。
雪渓か ら樹林帯に入り、枝をよけ木の根を踏み分けて森林限界を超えると次はジグザグの上りが待っていました。
これが今日最後の上りだから…と叱咤激励してようや く南峰に着いた時はもうザックも何もかも投げ捨ててバンザ〜イを叫びたい気持ちでした。
素晴らしい! 鹿島槍!立山!剱!槍!穂高!五竜!白馬!針の木!蓮華! バンザーイ!

 
槍ケ岳と穂高連峰                             針の木・扇沢全景

下方には下の廊下、十字峡にそそぐ棒小屋沢の雪が白い帯のように蛇行しています。
黒部川をはさんで対峙する剱沢と十字に交わって流れ込むあの豪快な十字峡です。

爺ヶ岳南峰から冷池山荘までは夏道で、新装なった山荘の赤い屋根がおとぎ話の場面のように雪の中に見えています。
あと一息ですがこの一息も疲れた足にはキキました。傾斜は緩くなるもののその分ダラダラとアップダウンが長い、長い。


冷池山荘とテン場

冷池山荘前でテントを張ります。
ベテラン大先輩方が手際よく雪をかき、踏みしめてテント設営、冷たいビールで乾杯!
今夜は厚切りハム乗せドライフリーズカレーです。食担の山の家さまが軽い共同食を考えて下さって美味しくいただきました。
白い星空を確認し、明日の快晴を期待して休みます。明日は3時30分の起床です。

コースタイム
みどり湖SA 5:35→梓川SA(朝食)6:05→扇沢P 7:40→
JP 10:50〜11:15→爺ヶ岳南峰 14:00→冷乗越 16:00→
冷池山荘テント場 16:15
(登山口から爺ヶ岳までの標高差約1320m、歩行約8時間35分)


冷池山荘テント場〜鹿島槍ヶ岳2,889m(ピス トン)〜扇沢

5時20分、鹿島槍に向かって 360度のアルプスを行く5人の影が雪面にくっきり映し出されます。
雪は思ったより少なくアイゼンなしで行けそうです。
荷物も軽く昨日ほどのキツイ上りも なく、素晴らしい展望を楽しみながら布引山、そして鹿島槍です。

山頂からはアルプスパノラマほしいままです。
白馬から白馬三山、唐松、五竜と続く後立山が 迫り、剱、立山、薬師、表銀座、裏銀座の縦走路、槍、穂高…。



朝の剣岳

厳しく、美しく、気品高く屹立する山、山、山…。輝く白とブルーと大地。
別世界のようなこの 現実、間違いなく私はこの地に立っている!この中にいる!この実感に胸が熱く、と言うより痛くなりました。
忘れるなんてことはあり得ないけれど、この世界を目と胸と記憶できる全てにしまって帰ります。

テントを撤収し下山は昨日のコースを下ります。殆ど下りですが上りになると途端に足が重くなります。
爺ヶ岳中峰への分岐で「行きたい人は行って来て、ここで待っているから」とLの軟弱さま。
全員もう十分ですと笑ってごまかします。(昨日は行く積りでしたので)

風がきつくなって何度も振られそうになり、しばらく耐風姿勢でやり過ごすこともしばしばです。
振られないようにと変に力が入って、息苦しくもあり強風というのも結構疲れるものです。

でもこの強風下、爺ヶ岳の山頂にテントが張ってあるのには驚きました。
今さら撤収して移動も出来ず仕方なく待機なのでしょうか。

樹林下では雪の下が凍って滑り、雪渓では踏み抜いてしまったり、こんなに長かったかな?と思うほど長い下りです。
これは上り以上に歩き辛く、気を使って疲 れました。
扇沢の駐車場が見えて沢音もどんどん近くなりゴールが近いはずですが、何と長く感じたことでしょう。もう飽きるほど歩きました。
いったん休憩す るとザックを背負うのも大儀、歩くモードにもならなくて、疲れた〜の声が。(私だけではなかった〜)
そこは話題豊富な山の家さま、いつも楽しい話題で盛り 上がったり、下がったり???休憩も、また楽し!です。

1ヶ所ルートを誤って少し時間をロスします。テープもトレースもあるのですが引き返して来る人があり沢へ下るらしいです。
分かる地点まで引き返します。扇 沢まで下りると皆里心がついて、テント食じゃないものが食べたくなり、
その誘惑に勝てなくて駅のレストランに直行します。ところが行ってみると、何とレス トランは5時で営業終了。
全員の落胆は言わずもがなです。結局売店の立食いそば、うどんになりました。

扇沢の豪快な沢音を聞きながら幕営、渋滞をさけて翌朝早目に帰路につきます。
帰路の車中から爺、鹿島槍の雄姿、その稜線をもう一度目でたどり、2日間の信じ難いほどの幸せな時間に感謝するのみでした。

コースタイム
テント場 5:20→布引山 6:25→鹿島槍 7:20〜7:50→テント場 9:08〜10:03→
爺南峰 11:50→柏原新道合流 16:00→登山口16:45(ロス時間少々、歩行約11時間25分)
 

文:porori 写真:Mt.冨士