奈良山友会 山行の記録

北アルプス
薬師岳
登山バス

2004年7月23日-25日



参加者 25人

コース
折立キャンプ場−1,871m三角点−太郎平−薬師岳山荘(泊)−
薬師岳山頂−(往路ピストン)−折立キャンプ場


北アルプスの中央西側にそびえる薬師岳(2,926m)。
長大な尾根を有し、その山容は雄大です。山頂直下には氷河の作ったカール(圏谷、天然記念物)があり、高山植物も豊富。
北アルプスの名山の一つです。

第一日(7月23日−24日)

奈良から北陸道経由で、有峰林道(有料。朝6時にゲートがオープンする)を通り、登山口の折立キャンプ場には7時に到着。
広い駐車場、トイレ、休憩所があります。ここで簡単な朝食を済ませて出発。

登山道はのっけから急坂。休みなくぐんぐん登っていきます。あっという間に周囲の尾根と同じ高さになり、なおもジグザグに登り続けます。
体が慣れていない上に夜行バスの睡眠不足が加わって苦しい。風もあまりないので暑く、すぐに汗びっしょりになります。

登山口と頂上の標高差は1,700mもあり、やはりたやすい山ではありません。
この急坂は、1,871mの三角点の近くまで、ほとんど休むことなく続くので、急がずに、ゆっくり登るのがいいでしょう。
三角点に着くと、展望が開け、開放的な雰囲気になります。

ベンチが多数設置され、格好の休憩ポイント。風が吹き抜け、また高度もあるので涼しい。
ここからは一度下ったあと、緩やかな稜線をだらだらと登っていきます。
しかし、このだらだら坂がなかなかくせ者で、石がごろごろして歩きやすい道ではない上に、
急ではないとはいえ着実に登るので、結構足にはこたえるのです。

展望が広がり、これから行く道が良く見えるので、かえって苦しく感じます。ここも先を急がず、ゆっくり登るに限ります。

この付近から周囲は草原のお花畑となり、花が増えてきます。まず目立つのは黄色いキンコウカの花。
群落を作って、草原が黄色く見えるところもあります。白や青の可愛いタテヤマリンドウもたくさん咲いています。
ただ、多くの人が草原を踏み荒らすため、登山道のそばの部分は荒れていることが多く、現在復元のための努力がなされています。
たとえ写真を撮るためであっても、決して登山道以外には踏み出さないようにしなければなりません。


タテヤマリンドウ                              太     郎     平
   
長いだらだら坂を登り、幾つか小ピークを越えると、正面に太郎平が望まれ、小屋も見えてきます。
ガスが出てきたため360度の展望という訳にはいきませんが、周囲の山々の展望は素晴らしい所です。
長い登りが終わって、太郎平に到着。小屋前の広場にはベンチが数多く設置され、高原のリゾートのような快適な場所です。
小屋ではビールやジュース、軽食も売っており、綺麗なトイレも利用できます。
また、おいしい水も無料で補給できます。もちろんここで昼食を兼ねた大休憩。
小屋の背後にはなだらかな太郎山が見え、ニッコウキスゲの黄色い花の咲く草原に木道が延びています。いい景色です。

昼食後、太郎平小屋に宿泊するメンバー数名とはここで一度別れ、残りのメンバーは太郎山とは反対側の木道をたどり、薬師岳方面へ向かいます。
シオガマなどの花の多い草原を下り、坂を降りきったところがキャンプ場。ここでも冷たい水を得られます。

ここからの登りはこのコースでは最も急な登り。岩のゴツゴツした坂をあえぎながら登ります。
沢と一体化している箇所もあり、足元には注意が必要。
しかし、この付近からは花の種類も数も急に増えて、誰もがその美しさに歓声をあげながら登ります。

チングルマ、ハクサンイチゲ、シナノキンバイ、キヌガサソウ、イワカガミなどが次々に現れ、
特に白のハクサンイチゲと黄色のシナノキンバイが美しく、一面に白や黄色の入り乱れたお花畑はまさに壮観です。
苦労して登ってきた甲斐があったというものです。

 
チングルマとハクサンイチゲ                      お 花 畑 の 稜 線 

さらに登ると雪渓が現れ、心地よい冷風が吹き抜けます。
イワイチョウやハクサンフウロも咲いています。可愛いツガザクラの青白い花もあります。ウサギギクやニガナも見えます。

やがて右に大きなカールの見える尾根に出ます。ここから見える壮大なカールは、いかにも氷河が削ったと思えるU字型の谷で、
大きな雪渓になっています。そして、この付近、雪と花と青空の織りなす稜線の眺めは、実に素晴らしいものです。

美しい眺めと多くの花たちに慰められながら、さらに登り、本日の宿である薬師岳山荘に到着。
小さな鞍部に建つこじんまりした小屋です。混雑で畳1畳に2人という状態でしたが、食事はおいしく、まずまずの小屋でした。

なお、この小屋は天水利用なので、水は登山中の太郎平か薬師岳キャンプ場で調達しておく必要があります。
また、夜中に雷雨があり、1時間近く雷鳴が轟きました。
木曽駒や立山ではロープウェイが止まったり、唐松などでは死者も出たとか。山の雷は怖い。

第二日(7月25日)

ご来光を見るのは3時半に起きる必要があるので諦め、5時起きで6時に出発して山頂を目指します。
山頂との標高差は200m余りあり、特に小屋からの最初の登りがきつくて侮れません。休み休み登って、薬師岳山頂までは1時間弱です。

登り着いた山頂では少しかかっていたガスが運良く晴れ、周囲の展望が開けました。北薬師が眼前に綺麗に見えます。
また遠く槍ヶ岳の先鋒も薄く見えています。薬師如来を祀る祠では鐘をたたき、みんなで記念写真を撮ります。
充実感溢れる、最高のひとときです。この時ばかりは、日頃のストレスも忘れ、自然の素晴らしさに身を浸すことが出来ます。
山は、自然は、本当に素晴らしいものですね。

 
ハクサンイチゲ                              シナノキンバイ

しばらく我を忘れ、頂上の展望を満喫したあとは、小屋まで戻ります。戻る途中、太郎平小屋に泊まっていたメンバーが登って来てめでたく再会。
彼らは3時過ぎには起きて、暗い中あの厳しい道を薬師岳山荘まで登り、さらに山頂へ登って来たわけで、その体力と気力には感嘆します。

我々は小屋まで戻って朝食。頂上をきわめてからいただくこの朝食も最高。
太郎平小屋宿泊のメンバーが山頂から戻るのを待って、デポしてあった荷物を整理し、全員揃って下山にかかります。

再びお花畑の中を通り、登りは苦しかった急坂を下り、太郎平へ。ここでもまた展望を楽しんで、だらだら坂を下ります。
長い長い下りです。しかしお花畑と周囲の展望で、退屈することはありません。

三角点からは樹林の中の急坂となり、どんどん下っていきます。高度が下がり、次第に暑くなってきます。
別天地だった山から登山口の折立に下り切ると、そこは真夏の炎天下。そそくさとバスに乗り込み、温泉に向かったのでした。

薬師岳は、楽な山ではありませんが、決して難しい山ではなく、その展望といい花といい、大満足の山でした。
いつの日か、薬師岳から北へ、立山方面まで縦走してみたいものです。


文・写真:漫歩計 写真:トレモロ