奈良山友会 山行の記録

待っていてくれた のね!
大普賢岳

2003年2月22日〜23日


小普賢鞍部から国見岳方面

<メンバー>
L.ハッピーエンド
mt.fuji、リギ、porori

<コース・コースタイム>
キャンプ場7:45−和佐又山8:20−笙の窟9:18−石の鼻9:55−11:25大普賢岳(昼食)11:55−小普賢の肩12:30−キャンプ場13:55


集合の橿原神宮駅はもう冷たくはない春の雨にぬれ、明日の予報、曇り、降水確率午前10%、午後0%を信じる他ない出発をする。
どんより重い空は車を走らせても変わらず、新伯母峰トンネルを越えてもやっぱり雨。
和佐又ヒュッテへの道は所々うすく雪がついている程度で、しとしと雨のキャンプ場に今日のテントを張る。
雨音を肴にビール、後は鍋を囲んでゆっくり夕食をする。BGMはなり止まず・・・。

雪になって欲しい雨はこの気温では雪にはならず、だんだん激しくなる風と雨に、眠りを妨げられることもしばしば。
一夜明けると雨は止み、ヒュッテ前は真っ白い雨上がりのガスに包まれてしまう。

朝食のサンドイッチを食べ終え、さて、と、テントを出ると、なんと和佐又山上空は信じられないくらい真っ青の空!
風にガスがどんどん流されて青い空が広がっていく。

急にはしゃぐ4人、いや2人だったかも知れない?

予定より1時間遅れの出発は和佐又経由で大普賢岳を目指す。雪は少ないけれど陰では氷になっていて滑る、注意。

天気は私たちを待っていてくれたかのように回復し、和佐又山頂からは大峰の主稜線、弥山から釈迦のラインがゆったり広がり、
丸い日本岳が間近に見え、その奥の大普賢はもうお目覚めかな?
和佐又山を一気に下り和佐又のコルに出る。

緩い尾根はブナとヒメシャラの美林で、木々にとどまる水はイルミネーションのように輝き、あふれて落ちるしずくは光るシャワーのようで、
昨夜の雨はこれを演出するための予定されたプログラムだったとしか思えない。

少し立ち止まってヒメシャラの赤い林、光るシャワー、透明なイルミネーションに見入る。
雨は雨で、雪は雪で、その情景に喜びを見出せる心でありたいといつも私は思う。

ここからは行場が次々にあり、指弾の窟、朝日の窟、最も大きい笙の窟で一息入れる。
不動明王の祠があり、水場も氷柱になり、そう言えば、夏でも唯一涼しいと所と記憶する。


笙の窟の氷柱

大きな岩から降りしきる雫が連なって、陽を受けて美しい。鷲の窟を過ぎて、雪は徐々に多くなり、道に氷のブロックが転がっていたりもする。

鎖場と滑りそうな急斜面をゆっくり上がって日本岳のコルに出る。
青空の下に雪の尾根が誘い、樹氷も見られ、北の斜面は雪いっぱいでうれしくなる。

その雪の中では、もうシャクナゲが固いつぼみをつけて、健気に春を待っている。
きっと、大輪の花を咲かせてね。

本当はシャクナゲに語りかける余裕もあまりなく、連続するはしごと、凍りついた足場のない道に緊張しながら、大展望の石の鼻につく。
今日も胸のすくような、熱くなるような、深い大峰に出会う。

展望を楽しんだ後はアイゼンをつけ、はしご、鎖をいくつかやり過ごし、小普賢の肩から大きく斜面を下る。
雪はピッケルが全部入る状態からして60〜70cmだろうか、崩れ落ちそうな足場に注意して鞍部に下りる。

まだまだ続く長いはしご、急坂には、「転落多し!注意」の表示が目に飛び込んで、細いけれどしっかりロープがはられ、
その弛みのないロープが一段と目に痛く感じられる。

一歩も落ちてはいけない斜面を慎重に足を運ぶ、下を見なければ、いつもの、ただの、一本の道とばかり・・・。


小普賢鞍部の樹氷

たった一人、大きなザックで山頂テント泊の男性に出会っただけで、トレースも不明瞭で、
時々テープ、ルートを探すために立ち止まり一息入れる。

傾斜が緩んで、大峰奥駈道に合流し左に折れてもう一息、暖かい陽のさす山頂はガスがかかったり、一瞬晴れたりを繰り返し、
2月とは思えない暖かさで、山名板に取り付けられた温度計は(南向いていた)10度を指していた。

今日も真っ白い雪に出会えてうれしい!雪と遊べてうれしい!


待っていてくれたのね!大普賢岳!


4人占めの山頂は雪の中、暖色の陽だまりで昼食をとる。
下りはヒュッテまでピストンし、途中の急斜面や、凍りついた道、はしごなどでもう一度緊張したりしつつも、上りよりかなり早い時間で下ってしまう。
笙の窟まで下り、アイゼンを外すと足が軽い、軽い。
下り始めると、重い雲に覆われ鉛色の冬空になってしまい、思いが通じたのか、上りの4時間だけが青い空に恵まれるこの不可思議。

本当に待っていてくれた雪の大普賢岳に、もう、今期は最後になるかも知れない雪に、樹氷に、ありがとう!
往ってしまう冬が少し淋しくて、合掌。


文・写真:porori