奈良山友会 山行の記録

上信越・戸隠山から高妻山

2002年7月13日〜14日


高妻山山頂

参加者8人(14日は7人)

****** 遠くの夢を 近くの夢に いつもの夢を いつでも夢を *****
黒姫高原のお嬢さんとナイトの戸隠山・高妻山 山行報告書

 修験の山「戸隠山」妙高山を代表とする「頸城山隗」の南端に位置するのが戸隠山と高妻山です。
戸隠山の側に"高妻山がスックと立っている"スック"とい う形容がそのままあてはまる気高いピナクルである"と評した深田久弥。
高妻山の別名は、「戸隠富士」。


戸隠山                         高妻山

7月13日(土)
戸隠山
戸隠奥社→百間長屋→蟻の戸渡り→八方睨→戸隠山→九頭龍山→一不動→戸隠牧場
天候 晴れ→曇り→雨

 戸隠奥社鳥居前から出発。お山に向う広い一本道の参道。
随神門をくぐると奥社まで続くりっぱな杉並木が朝の光を浴びながらそよぎ、気持ちのいい雰囲気を 醸し出しています。
道行く人も少なく静かにコツコツと音する私達の靴音が響きます。

  登山道入口は、奥社の手前にあり、いきなり樹林の中を九十九折に登る。
時折、そよぐ木の間から岩肌が見え隠れしています。この岩肌がこれから登る戸隠山の 先触れかとも。
途中、腹痛に陥った私は、Lにお世話になったりと出発前に按じた"足手まといに………"の不安が頭を過ぎります。
Kさんに頂いたアリナミン が、効き目を発揮し、みるみる元気もりもりに。
少し休憩を頂き再び出発。五十間長屋・百間長屋の抉られた岸壁を越えて登って行きます。
息は、はーはー・ すーすーからハースー・ハースーへと自然に変化し滴り落ちる汗は、ヘヤーバンドをも通過し滝の如く引力の方向へと導かれていきます。

 やがて鎖場が目の前に現れてきます。戸隠の鎖場は、垂直に近い岩場で"何が何でも登るっきゃない〜〜〜"足は?足を?何処にと探す。
鎖で体を持ち上げる 場面も幾度か。修験道の山「戸隠山」の名に恥じない厳しいコースです。

 登り終え、目に入ったものは今にも崩れ落ちそうなもろい岩質「蟻の戸渡り」。
その有名な難所のゴツゴツした痩せ尾根は、両側数百mの断崖上に肩幅程度の 道"どうすれば?
""何が何でも渡るっきゃないと〜〜〜"二本の足も刃が立たぬこの難所を馬乗りで進む。
右側に巻き道がありますが、痩せ尾根を通ることに しました。
左右の山々を見る余裕は風と共にあっと瞬間的に流れ去り、気持ちは前行く人に釘付けです。
  次の難所「剣ノ刃渡し」は、迂回路も無くただただ慎重に慎重に尾根を跨ぐ様に越えて行く。
"何が何でも行くっきゃない〜〜〜"二つの難所を越えて、程なく 主稜線上の展望のよい「八方睨」1,900mに到着。
「西岳」「高妻山」が、大きく雲の切れ間から見え隠れここで昼食。

 
スリルたっぷりの蟻の戸渡り

 ポツリポツリと冷たいものを感じ早々に出発。後から考えてあそこだったかと気づかずに戸隠山頂1,911mを通過。
ヤブっぽいアップダウンの樹林の中を 滑り止めにとササを握り締めながら進む。九頭龍山1,883m通過。
漸く、一不動避難小屋に到着。左に道をとれば明日予定の「高妻山」へと続く。
ここで雨 具を装着し戸隠牧場へと下りはじめます。

雨が沢に流れ込む一杯水への下りで高度感ある岸壁に打ち込まれた鎖を掴み体を山側に預け一歩一歩下る。
鎖も濡れ・ 岩も濡れ・手も濡れている。当然靴も。苦手な下りに嫌が上にもプレッシャーが掛かる。
今日一日、後ろを歩いて下さるLさんが、前を気にせずに歩けばいいか らと何度も声を掛けて下さる。
鎖を頼りに不動滝・滑滝を下り右に左に沢を渡り戸隠牧場に辿り着く。

牧場の中を歩き何度も何度も振り返り、
ガスのかかった戸 隠山を見上げれば雨にも負けず・風にも負けず・馬乗りに歩いた今日一日を感動せずにはいられなかった。


7月14日(日)
高妻山
戸隠牧場→一不動→五地蔵岳→八丁ダルミ→高妻山→下山は、ピストン
天候 晴れ→曇り→雨

 昨日の出口は、今日の入口。戸隠牧場からの出発。
  昨夜来の雨で、増水した沢の登りコース。水中に沈んだ石を踏む事度々。
倒木は、一段と水分を含み滑り易い。
昨日と逆のコースを登る滑滝の右壁を鎖を頼りに よじ登り、不動滝は、右岸のスラブのバンドを鎖を頼りに左から右の落口へと移動する。
水量が減り、一杯水で喉を潤し一不動避難小屋へと向う。
余分な荷物を 小屋に置き、いよいよ「高妻山」に向かう長い長い稜線がはじまるのです。

 この登山道には、二釈迦・三文殊・四普賢・五地蔵・六阿弥陀・七観音・八薬師・九勢至・阿弥陀と石祠が置かれています。
急な登り下りの繰り返し、見晴ら しも途切れ途切れに、時折牧場と先程登ってきた沢・黒姫山を眺め"思えば遠くへ来たもんだ"を実感します。
五地蔵岳1,998m到着。
"スック"と立って いる高妻山を遙かに眺める。

 山頂を後に、下草刈られた樹林の中、アップダウンを繰り返しMご夫妻の前後を歩く。
きつくなり石祠を数える事さえも忘れそう。小ピークを幾つも越え、九 勢至・八丁ダルミを通過。前方に大きく圧し掛かるかの様に聳える「高妻山」。
ゴロゴロと大小の岩が転がる登山道、ササを握り締めながらヤブの中へと進む。 一段と増す傾斜に思わず………。
長い長い胸突き八丁です。噴出す汗と共にいろんな想いが、ピストン運動し山中へと消え去り、
後に残るのは目の前に聳える 「高妻山」の頂上に立ち北アルプスをこの眼でと思う気持ちとまた別の喜びが。
ひたすらひたすら歩き続け「高妻山」2,353mに到着。

頂に立つと残雪の白馬・妙高が一瞬目に入る。夢は、叶うものなのですね。願えば、近づくものなのですね。
ポツリポツリと何か冷たいものを感じる。昼食を 済ませ、雨具を装着し今日来た道を下山します。


高妻山への稜線

 長い長い稜線を下りながら沢を下りながらこの二日間を思い、
夢が叶った嬉しさと同行させて頂いた方達に感謝の気持ちで一杯で胸が熱くなった私でした。

暮 れそうで暮れない黄昏どき。山の夕暮れは、暮れそうであっと暮れていく。
"あと30分もすると、暗くなるから頑張ろうね"とおっしゃって下さった言葉が、 この耳に響き今も尚留まっている。

   遠くの夢を 近くの夢に いつもの夢を いつでも夢を
 私の思いをニッコウキスゲに委ね、ニッコウキスゲはしっかりキャッチしたと。
 そよ風と共に香りの便りを受け取った私でした。


文:麗 写真:山遊亭ころり、リギ