奈良山友会 山行の記録

台高
宮の谷〜池木屋山


2002年6月22日・23日 

池木屋山山頂

<メンバー>
L.ハッピーエンド SL.山歩
リギ、どろんこ、どろんこパパ、porori


<コース・コースタイム>
‹6月23日(日)>
 宮の谷P 6:03−高滝 7:00−ドッサリ滝 7:48−奥の出合 8:05−
池木屋山山頂(1,396m)9:31(休憩) 9:53− 10:54 奥の出合(コーヒータイム)11:30 − 宮の谷P13:35

6月22日(土)

 夕方から青空が拡がり、山際をほんのり茜色に染めて太陽が山に帰ります。
夕陽に映える山々は、緑濃い常緑樹と、春に生まれ育った若い緑が鹿の子模様を作 り、
その中でもひときわすっきりと美しく、均整の取れた高見山に向かって車は走ります。
 高見トンネルを抜け、噴水のある蓮ダムの蒼いダム湖に沿って林道終点の登山口へ。登山口前の駐車場に今日はテントを張ります。
 小宴会の後は、満天とは行かないけれど、星にしっかり明日の晴天を願って、シュラフに入ります。
このコースは4月から二度、雨で計画倒れとなり、ようや く三度目の今回、実現しそうでメンバーの思い入れも一入です。
明日天気になぁーれ!

6月23日(日)

  翌朝5時前にはもう外は明るく、となりのテントから早起きさんの声が聞こえ起床。
テントを手早くたたみ、簡単な朝食を済ませ6時には出発します。空はうす く曇り、白い雲。
全ての空間を緑に埋め尽くされた深い谷を行きます。
草はしっとり朝露を含み、朝の冷気が辺りを包み、登山口を一歩入るといきなり深き山、 深き谷です。
  おはよう 小鳥さん達!
 色々なトーンの鳴き声で朝の挨拶が飛び交い、今日も素晴らしい山に出会える予感!しきり。

 標識に従って道を左にそれて、奇勝、犬飛びの岩へ向かいます。
 犬飛び岩は両岸に垂直にたつ岸壁が迫りその高さ40m、はるか下方の谷は巾3mに狭まり、ほの暗い中に深い緑が静止しています。
次に奇岩、鷲岩を見ま す。巨大な鷲が木に休み、今まさに、大空に向かって飛び立とうとしています。

美しい宮の谷を登る

 渓谷は目に優しい緑、また緑、その中を水は華麗に変化します。
身をくねらせるような蛇滝を見て対岸に六曲屏風岩を見るのですが、深く緑におおわれ、
随所 に柱状摂理の岩肌が垣間見られる程度で、全容は見えません。

 渓流に沿った登山道はよく整備され、真っ赤な手すりの鉄製の階段や桟道、ロープも要所に設置され、
思いのほかその強烈な赤が違和感なく溶け込んでいま す。
岩にかけられた階段はかなり急勾配のものもあり、足を滑らせた人もあって、ドキッとしたこと数回。
 一つ角を曲がる度に水は姿を変え、景色は移ります。
悠久の時をきざむ流れは緑を映し、岩を這い、大きく落下し、止まり、躍動します。苔むす転石、
艶やか な水辺のシダ、光と影が交錯するここは緑に染まる別天地。
その中で鳥のさえずりと水の流れが絶妙の輪唱を繰り返します。

豪快な高滝です


 轟音を響かせ、空からまっすぐに落下する高滝で小休止です。
その落差50m、真白の飛沫を上げ、天から一直線に落ちる様は一条の白い帯になり、
激しく動 いているはずなのに、静止しているようにも見えて不思議、かつ、豪快です。
 さほど気温は高くないのですが風がなく、全員ザックを降ろした背中は汗に濡れ、
冷たい水に顔や手を洗い、しばらく水に触れて涼をとります。

 ここから滝を巻きます。
非常に急峻な絶壁状の道にはロープがしっかり付けられていますが、道幅は狭く、崩れそうな個所もあり、
山側を歩くようにとサブ リーダーから注意があり、崩壊、落石に注意し気を引き締めて登ります。
高滝に続いて猫滝、樹の間越しにペルシャ猫の目を思わせる不思議な深いブルーの滝壷 が妖しく輝いているのです。

 水はまたまた華麗に変身し、ドッサリ滝に変わります。

ドッサリ滝です


 高さ15mの岸壁を、末広がりに、幾条もの白いラインが滑るように滝壷に吸い込まれている様は、
豪快に落下する高滝とは対照的に、華麗な姿で魅了しま す。

 ドッサリ滝に別れ、奥の出合到着。小広い、明るい河原で一息いれます。
水の中にはたくさんのおたまじゃくしが岩に群れて遊んでいます。
そう言えばおたま じゃくしをこれほど間近に見るのは随分久しいことで、
こんなに真っ黒だったかしらと改めて思い返すのですが、記憶にさえありません。
案外可愛いなぁ、でも 山道で突然出会ったあの大きなカエルは不気味で、
このたくさんのおたまじゃくしがみんなカエルになったらどうなるの? 全山カエル?

 出合いから道はますます急登になり、岩と木の根が縦横無尽にからまった階段状で、尾根へと続き慎重に進みます。
水のショーは終わり、瀬音もだんだん遠く なり、ブナやカエデ、木肌の美しいヒメシャラ、緑濃い檜などの雑木林、朽ちて苔むした倒木、
太いつるを幾重にも絡ませた巨木、手つかずの原生林に少しガス が立ち込めていっそう幻想的になりました。
太古の森の、樹のエネルギーをもらって、自然としっかり向き合って対話できるこの時間がとても好きで、幸せを感 じるときなのです。
 ヤセ尾根はまだまだ続き、立ち休憩を何度かとり呼吸を整えます。

 少し傾斜が楽になり、樹林を抜けると明るいササ原が開け、山頂近しの感、細かい雨が落ちてきました。
ササ原を踏み分けしばらく行くと、池木屋山山頂で す。
山頂は雨にけむり、静かに雨に打たれて、展望はありませんがこれも一つの山景色、それなりに心落ち着く空間です。
立ったままの行動食で済ませ、少し休 憩の後、下山します。
下り始めるとすぐに雨は止み、ちょっと後ろ髪ひかれますが・・・。

 下山は雨にぬれた尾根を、木の根に足を引っ掛けないよう、滑らないよう慎重に足を運びます。
うすい陽がさし始める明るい河原、奥の出合いでゆっくりコー ヒータイムです。
沢の流れと鳥の声をBGMに贅沢なコーヒーをいただきます。水の中ではおたまじゃくしさん、お昼寝?

 山頂を行動食で済ませた分、時間もあり、高滝では滝壷の近く、冷たい飛沫のかかる所まで行って遊びます。
滝の真下では水音も、水量も、言うに及ばず大迫 力です。
天空から激しく落ちるこの巨瀑を背にした人間一人は、何と微々たる存在なのでしょうか、
まるで異次元の世界に迷い込んだ思いです。

 次々に展開される見事な滝と、深い渓谷、奇岩、原生林、沢音、鳥の声、
どこまでいっても緑あふれる宮の谷の一番美しい時に出会えました。
叶うなら、違う装いの紅葉の時にもう一度、是非、出会いたいな。


文:porori 写真::porori・どろんこ