奈良山友会 山行の記録

金剛山系
タ ンボ山

  
2002年3月3日

<メンバー>
L.O 山の家、麗


《里 山探訪》
ヤブコギや あぁ〜ヤブコギや ヤブコギや

 ”春は、名のみ”とか申しますが、まさにその通り。立春を過ぎたというのに、雪花の舞う厳しい寒さの続いた今年の冬でした。
しかし、寒い寒いと言ってい る間にも春は一歩ずつ近づいていました。二月堂のお水取りもはじまり関西にも漸く春の訪れです。

 蒼く晴れ渡る空を、右手に二上山・葛城山・金剛山を眺め、五條から橋本に入ります。
静かな田園都市の城山台の擁壁と、ガードレールの隙間からはじまる今 日のタンボ山。
  登山口両サイドのシダの葉先に春の息吹を感じながら一歩踏み込めば、全くの別世界を実感します。
リーダーOさんの目は、視界にない尾根沿いの先に位置する タンボ山へ。山の家さんと私は、花粉症との攻防のそれぞれはじまりです。
枯れ草の中を掻き分け、城山南三角点で小休止。衣類の調整を済ませ、さぁ出発。

 
左:登山口は何もない所      右:タンボ山遠景


 土橋を歩き、木々の切れ間、風の通り道でサッと視界が広がり、遠い山と蒼い空の風景が目に入ります。
東に稲村ヶ岳・大普賢岳等を、南には奥高野の山々を 何度と無く変化した角度で味わうことができます。
土橋と平均台を思わせるような倒木を潜り、飛び越しetc……。

 やがて城山(長薮城跡)に到着。標高347mの三つの峰に跨る山城です。
堀切・土橋と数段の平地で成り立ち、遠く室町時代末期から変遷を余儀なくされた 程、
この山城は街道を望む上での戦略拠点として重要な要塞であったと推察されます。

 山城を後に、土橋からの視界は、先程までの東から今度は西の紀見峠を眺めるようになり、尾根沿いのコースを進みます。
時折、うぐいすのさえずりが心地よ く響く快適な道です。
芋谷トンネルの上を通過し、横手方面に進む途中で、山と山との小さな交差点。山の家さんの一言「これが峠」。

 峠からは、倒木と枯れ枝の中を歩きながら、横手の廃屋に下ります。
立派な民家で、管理する人と偶然話をしました。”いつか住みたい・・・”と、田舎暮ら しに憧れる人から見れば堪らない物件だと思います。
 民家の裏山を登り、ここからいよいよ"ヤブコギ"突入です。手袋・首巻の本当の出番がやってきました。
掻き分け・掻き分け・倒木を乗り越え(潜り)、昼 食前の最後の急な登りです。
Oさんの姿と木立の先に見える空へとただただ登り続けます。
 送電線の下で昼食にしました。行き交う人もいないこの素晴らしい大自然を私たち三人だけで楽しみます。
まだまだ遠くに感じるタンボ山に視線を向けなが ら。

 昼食後、変化に富んだ尾根歩きを楽しみながら、一路道なき道を掻き分け、掻き分け、倒木を・・・さらにもう一度、
イエイエ何度も何度も、道なき道を掻き 分け・掻き分け進みます。
 ようやくダイヤモンドトレール出合に到着です。踏み固まったダイトレと、先程まで歩いた足に優しい自然の絨毯を思わず比べてしまいました。

やがてタンボ 山に登りつきます。2等三角点のある頂上は、植林が成長したためか残念ながら見通しは良くありません。
 さぁ下りです。道なき道(と私には思えます)を只ただ、今日まで何度となく足を運ばれたOさんに付いて歩きます。
何処に道が?何処に道が?と思うばか り……。途中、ハンターと狩猟犬に出会いました。
イノシシ狩り? 里が、こんなに近いのに?

 さらに下り、ひっそりと佇む横手八幡に到着。管理は、きちんとされています。山を下った今でも故郷を思う人の心は変わらないのでしょう。
杉尾や横手の集 落とシュロと南天との関わりが、里山を知る上で何故か重要な役割を果たしている様な気がします。
林道を歩きながら里へ坂道を下り、遠くに城山台を、手前に のどかな田園風景を眺めながら、里山との共生を考えました。



 やがて写真の芋谷のトンネル(手掘り!)を通過。
真っ暗闇を、提灯持つ手をヘッドライトに変え、光を頼りに一歩一歩ゆっくりゆっくり静かに進みます。
こ のトンネルは、開通後、大阪から紀見峠を越えて高野山詣や生活で行き交う人達にとって、重要な役割を果たしたそうです。
近年の高野山詣と門前町との関わり を知るトンネルでもあるのかも知れません。当時、手にランプを持ち通る人の思いはどうだったのでしょうか。
 
梅の香りを楽しみながら、タンボ山に別れを告げ、今日の山行もおしまいです。

 ヤブコギの副産物はゴツン一発 切り傷少々・・・。いつもと違った山の面白さを知った、ヤブコギ初挑戦でした。
リーダーのOさん、本当にいろいろ有難う ございました。
山の家さん、花粉症との終わりなき仁義なき戦いの一日。一杯浴びた花粉は免疫へと変身したでしょうか?

 戻る車窓の左手に、タンボ山・金剛山・葛城山・二上山を眺め、そして、茜色の残像と共に、楽しかった春の一日も暮れて行きました。


文:麗  写真:山の家