奈良山友会 山行の記録

漫歩計の山行記録
唐松岳から五龍岳

2001年9月22日〜24日

<コース・コースタイム> 

9月22日(土)
奈良発21:20 バス-奈良から白馬へ 

9月23日(日) 

 (ゴンドラ・リフトにて)八方尾根第一ケルン8:00−八方池−丸山ケルン−唐松山荘11:30−唐松岳−唐松山荘(昼食)… 大黒岳−五龍山荘15:00(泊)

9月24日(祝)

五龍山荘5:30−五龍岳−五龍山荘8:00−大遠見山−中遠見山−地蔵の頭12:00
  (ゴンドラにて下山後、バス-奈良へ)

八方池からの展望 白馬三山

9月22日(土)

(バスにて白馬へ)

橿原神宮にて6名、奈良にて18名が乗車し、貸切バスで 一路白馬へ。
天気予報では降水確率0%で、車内は明日からの縦走に期待がふくらみ、山談義がしきり。
適当に(適当以上に?)アルコールも入って、賑やかなこと、賑やかなこと。でも明朝に備えて11時には消灯。

9月23日(日)
(登山口へ)

バスは、名阪国道〜名古屋市内〜東名高速〜中央高速と順調に走り、梓川SAで最後の休憩ののち、白馬には4時過ぎに到着。
ゴンドラ駅を探す(バスが入れる道を探す)のにちょっと手間取ったが、無事4時半に駅に着いて、朝食をとり、出発の準備にとりかかる。


天気は申し分のない快晴。雲一つない青空で、この分だと展望は最高だろう…と心が弾む。
気温は10度を下回り、寒いがこの天気ならむしろ暑いくらいになるだろう。早くも登山者がゴンドラ駅で列を作り始める。


7時半始発のゴンドラで上がる。ゴンドラを降りて、次のリフトに乗り換えるまでに自然観察園があるが、
霜が真っ白に降り、湿原には氷も張っていた。夕べは相当冷え込んだらしい。

(八方尾根から唐松岳へ)
リフトを2つ乗り継いでいよいよ登山開始。すでにこの地点で素晴らしい展望が楽しめる。
妙高、白馬三山、鹿島槍などがよく見えるし、足下には美しい田園風景が広がっている。
遠くには八ヶ岳もはっきりと見えているし、その横には何と初冠雪したばかりの富士山の姿も見える!!

24人と人数が多いので、3班に分けて歩く。日陰は ないものの気温が低いのと乾燥しているためか汗はほとんど出ない。
第二ケルンを過ぎ、ほどなく八方池。白馬三山が眼前に迫り、池に写る山の姿が何とも美しい。ここまでは観光地的な雰囲気。

池をあとにして、道は少しずつ急になり、着実に標高を上げていく。山がますます間近に迫り、右側には不帰のキレットが迫力 ある姿を見せている。
しかもその向こうには富山湾、さらに能登半島までもがはっきりと望める。
夕べあまり寝られなかったせいか少し足が重いが、何度か休憩しながら、約2時間半で唐松山荘に到着。ほっと一息。

唐松岳 唐松山荘

休憩もそこそこに、荷物を置いてサブザックひとつで唐松 岳に向かう。
疲れてはいるが一歩一歩登るごとに展望がますます雄大になり、
ようやく2,696mの唐松岳頂上。360度の展望は言葉ではとても言い表せないほどの素晴らしさ。
日本海の彼方から、遠く富士山も全体が姿を現し、妙高・戸隠、浅間山、八ヶ岳、蓼科や美ヶ原もそれとすぐ分かる。
もちろん五龍岳や白馬連峰は手が届きそうな感じさえする。
振り向けば、剱岳の勇壮な頂上が眼前にその偉容を誇り、立山から黒部の山々、そして裏銀座の連峰がすべて余すところなく展望できる。
谷には多くの雪渓が残り、さらに下には青く水をたたえた黒部湖も。
こんな素晴らしい展望、一生の内に何度見られるかという、それほど実に雄大な展望だ。
あまりの幸運に大声で叫びたい衝動に駆られる。


去りがたい山頂を辞し、山荘まで戻って昼食。たとえ質素な昼食であっても、この展望を楽しみながら食べるのは最高の贅沢というものだ。

(唐松から五龍岳へ)
午後から再び緩やかな登りの道を五龍岳へ向かう。
ほどなくやせ尾根の岩稜の道となり、鎖が続く。緊張させられる区間で、何度か小さなピークを乗り越える。
道は整備されているので慎重にいけば心配はないが、濡れていたりするとかなり怖いかも知れない。この付近が最も疲れを感じた。


最後のピークから急坂を一気に下り、これで終わりかと思うとまた下ってようやく鞍部に着き、ここからまた登りにかかる。
かなり疲労が溜まって来るが、ゆっくりゆっくり歩を休めず、休憩はごく短時間にしてペースを乱さないように行くと、不思議に疲れない。
唐松山荘から2時間半の行程で、今日の宿、五龍山荘前に到着。時間は3時少し前で、歩き始めてから休憩含みで約7時間。
前夜の睡眠不足で途中ちょっとばてたものの、もし前夜白馬等に宿泊していたなら、厳しい行程ではないだろう。
山荘で喉をいやしたビールは、本当にうまかった。

剱岳の展望 鹿島槍

五龍山荘は連休とあって大混雑。予約していた我々も、畳 1畳に2.5人近くという状態を我慢しなければならない。
これがいやでテント一辺倒という人もいるが、小屋泊の荷物の少なさを考えれば仕方ない。

それにしても素晴らしい天気。夕刻になっても空には一点の曇りもなく、底なしの青空。
ガスも霞も全くかかることがなく、遙か遠方まで、四方八方が全てはっきりと見える。何という天の恵みか。

夜中1時頃、トイレに起きたとき、洗面所でヘッドランプ(消灯後は真っ暗なので必携)を消して窓を開け、夜空を眺めた。
無数の星がこの世の物とは思えない美しさ! 星・星・星…見ているうちにどんどん数が増え、じっと見ていると吸い込まれるような感じがする。
天空には白い天の川もくっきりと見える。この美しい星空は、これまでの人生で見た最も綺麗な夜空だった。
感激で胸が熱くなる。遠くには街の灯りも見えていた。

9月24日(月・祝)
(五龍岳登頂)

朝食は混雑が予想されたので昨日の内に弁当に変えてもらうよう依頼しておいたが、これが正解。朝食のために出発が遅くなる のはつらい。

荷物を整理し、一部の人は弁当を朝食として食べ、5時半に出発。今日もまた雲一つない快晴。
2日続きでこのような好天に恵まれたのは、最高の幸せだった。


登山路は途中から岩稜となり、一部鎖があってスリルのある箇所もあるが、目の前に五龍岳の頂上が見えているのでみんな元気 そのもの。
登るに連れて、素晴らしい展望はさらに広がりを増し、槍ヶ岳の尖峰、さらに穂高も姿を見せて、歓声が上がる。
こんな素晴らしい展望、我々だけが楽しませてもらって申し訳ないような気さえしてくる。

五龍岳山頂 五龍岳

山荘からちょうど1時間で標高2,814mの頂上へ。
もちろん360度遮る物のない大展望は筆舌に尽くしがたい雄大さで、感無量。
日頃の悩みやつらいことも全て忘れさせてくれる、大自然の力と素晴らしさを肌で感じるひとときだ。
特に、目の前に大きくそびえる双耳峰、鹿島槍の姿は印象的だ。

再び山荘に戻り、水を補給し、下山の準備にかかる。山荘から遠見尾根の下山路が手に取るように見える。

(遠見尾根を下山)
山荘横から唐松岳方面に5分も登ると分岐があり、遠見尾根への道標に従って白岳のピークに向かう。すぐに頂上に着き、いよ いよ長い下りの始まりだ。
下り始めてしばらくすると、短い鎖の岩場下りとなり、さらに下って、やがてゆるやかなアップダウンの道になる。
抜けるような青空は本当に真っ青で、いかにも秋の空だ。相変わらず雲はかけらも見えず、見渡す限り申し分のない展望が続く。


後ろを振り返ると五龍岳。角度が変わって、ものすごい迫力の山だ。あんな所に登っていたのか…と自分で感心したりする。

遠見尾根はかなり長いが終始展望は良く、飽きることはない。真横には八方の長大な尾根がよく見える。
ただこの坂を登るとかなり苦しいかも知れない。
途中、大遠見山、小遠見山といったピークがあり、下りのみというわけではないが、登りは大した事はなく、小遠見を過ぎると下り一方となる。

紅葉にはまだ少し早い。ナナカマドもほんのり赤い程度だ が、実は真っ赤に熟している。
下って来るとあちこちにリンドウの花が見られる。

膝が疲れる頃、ようやくスキー場のリフトの最上部に 着き、さらにゲレンデ横の階段状の道を下ってテレキャビンの駅に到着。
冷たい水やビールで喉を潤し、ここからも見える美しく壮大な山並みを見ながら、素晴らしかった山行を振り返る。
このような得難い大展望満喫の山行、山を愛する者にとっては何物にも代え難い幸運と言うほかない。

自然に感謝!! そして骨折ってくれたリーダー、サブリーダー、会計係の皆さんに感謝。

(温泉、そして帰路に)
バスに乗り込み、近くの十郎温泉へ。残念ながらここの対応は最低で、愛想もそっけもないし、食堂の対応も情けないものだっ たが、
温泉で汗を流し、ゆっくり体を休めれば、この2日間のまさに最高の山行の喜びが体に溢れ、少しくらいの不愉快さは吹っ飛ぶ。


午後2時、再びバスの乗客となり、帰路に着く。
途中、車窓からの眺めも素晴らしく、登ってきた唐松・五龍、お隣の鹿島槍、白馬、南へ下って蓮華岳、
さらに南アルプスの北岳、塩見岳、空木岳などの山々が好天で実によく見える。
眠るには少し騒がしすぎる車中、それでもしっかり眠って、名古屋付近で渋滞にあったものの、無事9時半に奈良に到着。

花は端境期で少なかったものの、今回の山行はその展望の素晴らしさで一生の思い出に残るもの。
我々の幸運を喜ぶとともに、この素晴らしい大自然がいつまでも守られることを願ってやまない。


文・写真:漫歩計